基礎研究の活性化の推進方策を探り、学術政策に役立てることを目指した財団独自の事業で、毎年、調査研究のテーマを設定し、この研究成果は松尾研究会報(年報)として刊行しておりました。(現在は休止しております。)


No.4 「基礎科学研究についての認識・判断における論理跛行」 2016~2017年


No.3 「日本の学術ゲノム-間主観性マトリクスの検証」 2015~2016年



No.2 「自然科学と人文科学の論理結合」 2013~2015年


No.1 「レーザーの50年-基礎研究からイノベーションまで-」 2011~2013年


松尾研究会報(2009年まで)はこちら

No.1 「学術的基礎研究とその先端技術開発における役割」 1991年

 大学の立場に立って、我が国の研究開発活動の態様を概観し、とりわけ、学術研究に端を発する革新的技術の誕生と発展の歴史を実例により紹介し、先端技術開発における学術研究の意義と役割について、その基本的理念をまとめたもの。

(全文PDFファイル(スキャンPDF 2.0M))
No.2 「大学の研究活動の活性化を考える」 1992年

 大学を巡る新しい状況に対応し、学術研究の一層の活性化を促進するための基本的視点を明らかにしようとしてまとめたもの。特に、教育基盤設備の基本になる考え方及び施策の方向について概観し、その現状と課題を具体的に論じている。

(全文PDFファイル(スキャンPDF 2.6M))
No.3 「農学の発展と研究体制」 1993年(在庫なし)

 生命科学の著しい進展の中で、転換期に当たる農学の将来を展望し、新しい農学観とその発展につながる研究体制の在り方をまとめたもの。中でも、「新しい農学の展望概念図」と「全国的な連合組織であるネットワークの形成と運営の在り方」の提言は、農学の今後の姿を明示したものと言える。

(全文PDFファイル(スキャンPDF 2.5M))
No.4 「地域文化振興のための支援策の在り方について」 1995年

 真に地域にとって望ましい「文化環境」の創製を目指した政策科学的な調査研究。地域文化を巡る基本的な問題の所在を明らかにし、新しい時代に向けての地域文化振興の支援策をまとめたもの。文化ないし、文化行政に関わる方に大きな示唆を与える。

(全文PDFファイル(スキャンPDF 4.0M))
No.5 「学術助成財団の現状と課題」 1996年

 大学等における研究費が多様化する中で、研究者の頼れる研究費として期待されている「学術助成財団」の研究助成金について、その史的成立過程と助成プログラムの活動状況を概括的に分析し、学術研究事情から望まれる助成の方向を描き出したもの。その中には、民間助成金と科学研究費補助金(文部省)との相関関係について、サンプル数は少ないながら、初めて明らかにされている。調査対象は、文部省所管の「学術助成財団」の中で、「(財)助成財団センター」に登録されている49の財団で、これには我が国の代表的な財団が多く含まれている。

(全文PDFファイル(スキャンPDF 11.1M))
No.6 「化学物質は文化的遺産- 保存活用体制の基盤づくりの意義と支援策-」 1997年

 化学研究の歴史的所産であり、それ自体固有の価値を有するばかりではなく、今後の化学研究や優れた物質文化創成の基盤ともなる化学物質標本を巡る環境の変化が、近年急速に進み、散逸・消滅する恐れが顕在化しつつあることに鑑み、化学物質標本のもつ学術的意義を見直し、生きた文化財として保存・活用する新しい展開に向けての基盤整備を図るため、(社)日本化学会の協力を得て、取りまとめたもの。その中には、化学物質の近代文明における意義、今後取り組むべき方策の基本となる考え方や望ましい保存・活用体制の在り方が素描されている。将来的には物質銀行:Bank of Materialsの構築を志しており、その第一歩となる計画として、本報告書の持つ意義は大きい。

(全文PDFファイル(スキャンPDF 6.0M))
No.7 「転換期の学協会」 1998年

 学協会は、学術情報発進の中核的機能を持つ学術研究活動の重要な拠点の一つであるが、国際化の波が押し寄せる中で、「情報発進の空洞化現象」や「財政の脆弱化」が進行する一方で、学問分野の爆発的な広がりに対応していける状態にないなど、その取り巻く環境は厳しく、まさに学協会は転換期にある。本報告書は、学協会が直面している新しい状況と問題点を分析し、共通して学協会に期待される機能と運営の在り方や望ましい今後の助成策の方向について包括的に取りまとめている。学協会、行政当局にとって今後の指針を検討するのに必見の書である。

(全文PDFファイル(スキャンPDF 5.0M))
No.8 産学連携推進の現状と課題- 研究連携システム・技術移転の実態と新しい方向-」 1999年

 産学連携の振興は、今や重要な国家戦略として位置付けられ、「大学等技術移転促進法」(いわゆるTLO法)の制定など、その基本的枠組みが整備されつつあるが、それだけで技術移転が大巾に促進されるとは考えられにくい。本報告書は、産学連携の現状や課題を実態に即して明らかにし、大学の自主性、公共性という視点からも検討を加えるなどして、産学連携の発展的展開に向けた望ましい環境整備に関する改善方策を取りまとめたものである。その中に示された提言は、産学連携の健全な振興とダイナミックな展開に資する上で、有益かつ含蓄に富んだ内容となっている。なお、付属資料「松尾研究会・審議経過の概要」には、論議の過程で出された多様で、かつ貴重な意見や提案などが紹介されており、併せて参考願えれば有意義である。

(全文PDFファイル(スキャンPDF 10.4M))
No.9 「大学の研究システム改革への6提案- 優れた個性を生かすインフラの強化を-」 2000年

 今、我が国は、熾烈な国際競争に直面する21世紀に向けて、種々の面で構造的な変革を遂げ、新しい体制を整えることが求められている。大学(大学共同利用機関を含む。)もその例外ではない。本報告書では、現在の大学における研究組織・運営の仕組みとその風土からくる様々な問題的状況を分析し、新しい時代にふさわしい研究体制に改革するための提案を行っている。具体的な提言は、(1)効率的な研究組織の運営と優れた研究者の育成とが両立しつつ、ますます高度に発展するための新しい制度的枠組みの整備、(2)将来への展望が実感でき、質の向上につながるような実効性の高いポストドクター研究者制度への改善、(3)インセンティブを与えるようなリージョナル研究支援システムの構築、の3グループに分類し、合わせて6つの提案にまとめられている。その内容はいずれも、今後大学が取り組む課題の改革の端緒をなすものであり、多くの方々のご一読を期待したい。

PDFファイル(58k))
No.10 「新しい科学技術・学術行政体制に望む- 学術研究の高度な発展を支える研究基盤の強化のために-」 2001年

 平成13年からの新しい科学技術行政体制が発足し、大学を含む科学技術政策の総合的・戦略的推進への期待は大きい。しかし、国の重要政策が経済効果を重視した科学技術に傾斜し過ぎ、学術研究はそれに役立つ図式の中にのみ理解される傾向なしとしない。歴史的にも、質的な変革をもたらす新技術は、研究者の自立性に根ざした学術研究の成果に基礎をおいている場合が多く、この点からも学術は人類の知的共有財産である。本報告書は、学術固有で不易なものに目を据え、当面する学術行政施策の基本的な方向を9提言に取りまとめたものである。そこには、学術行政の総合的展開や成熟した産学連携推進のあるべき姿や文明論的な意味での科学技術への考察などが素描されている。併せて、博士過程をめぐる新たな政策的課題群や国立大学法人化を生かした文化的・社会的基盤の保障などが重要な検討視点として論じられている。

(PDFファイル(194k))
No.11 「大学院博士課程改革のための10提案 -高度かつ創造的な教育研究の発展的展開のために-」 2002年

今日ほど、大学院博士課程の在り方が、学界はもとより産業界からも広く注目を集めている時代はいまだかってなかった。その背景には、戦後の日本の発展を支えてきた高等教育体制の流れが、時代の経過と共に様々な矛盾をあらわにし、変貌しつつある現代社会の要請に適切に対応できなくなったことが挙げられる。特に、博士課程へ進学しても将来への人生設計図を描けない閉塞感が学生間にあふれている現状は、まさに博士課程が重要な転換期にあるといえる。本報告書は、このような基本的認識に立ち、その問題的状況の多面的な分析評価とそれに基づく検討課題をまとめ、新しい発展の方向を求めたものである。博士課程における教育機能の強化を基本に、博士研究員制度の再設計から、産業界との不均衡、学生への経済支援、教育研究組織運営の弾力化と教育評価等々に至るまで、博士課程の改革のための基本的な枠組みが10の提案の形で示されている。この提案は、深い洞察に基づく建設的具体案であり、「解説編」ともども、ぜひご一読願いたい。

(PDFファイル(1.05M))
No.12 「科学の先端を拓く-先達の一人一話集-」2003年

 今,「強い日本の再生」に向けて、最先端科学技術を創造する構造改革が進められている。画期的な新技術は、その値を基礎研究の成果に置いている場合が多く、経済的効果、社会的効果などを踏まえた研究開発の重点化と同時に、自由で深い独創性に根ざすカルチャーとしての基礎研究を着実に推進することが重要である。
  本書は、現代科学の奔流の形成に大きな役割を果たしてこられた創造的研究者の足跡を一人一話集の形で編纂したものである。23人の研究者が収録され、そこには、オリジナルな研究を追及し、苦難と創造に満ちた人間ドラマが凝縮されている。研究の創造的展開に賭ける人達にとって一服の刺激剤になれば幸いである。なお、この書は、科学新聞社出版局から市販されている。

(問い合わせ先:TEL 03-3434-3741、FAX 03-3434-3745)
No.12別冊 「新しい研究動向と体制を考える」(科学の現況と展望へのケースリポート)

 このケースリポートは、前書のNo.12「科学の先端を拓く-先達の一人一話集-」の別冊として、科学振興をめぐる問題の所在や今後の展望を踏まえ、望ましい体制の在り方の一端を素描することを目指したものである。この報告においては、研究の体系的・集団的な創造性を先導し、あるいは、研究の動向に大きな影響を与える研究の新しい方向に対応するための方策が簡潔に取りまとめられている。執筆は、前書の企画・編集にあたった委員によるもので、限られた専門分野であるが、わが国の科学技術政策に新しい手がかりを与える極めて示唆に富んだ内容になっている。

(リポート全文は、こちらでご覧になれます。(PDFファイル(1.9M))
No.13 「新たな全国共同利用研究体制の確立に期待する-国立大学法人化後の学術的・融合的な基礎的研究の展開のために-」 2004年

法人化に伴い、各大学においては、特徴ある教育・研究の展開、自主的な財政基盤の確立により大学の客観的評価を高めるための独自の経営戦略が強まり、いわば、「縦割り型管理運営」の普遍化が進む傾向が避け得ない状況の中で、文化創造の基盤となるべき基礎的研究の推進に対応するためには、各大学の研究活動を横断的に連携するための、新たな制度的保障が必要である。本報告書は、このような観点に立ち、諸科学の連携・融合のできる新しいシステムの構築を目指して今後取り組むべき方向と方策について提言したもの。その内容は、先人の知恵により確立されてきた世界に誇れる共同利用研究文化を法人制度に生かすことを理念とし、共同利用研究機関の整備、大学法人の連帯による共同研究体系の創造、教育と研究の総合的推進をパッケージにした新たな全国共同利用研究体制を素描することを基本に取りまとめられている。なお、この構想の具体化のため、フランスのCNRS(国立科学研究センター)を参考に、新しい「総合研究機構」の整備を検討することを提案している。

(全文PDFファイル(2.5M)  付属資料1 PDFファイル(0.3M))
No.14 科学研究費補助金の学術貢献に関するアンケート調査- 「調査結果の概要」 2005年

 本「調査結果の概要」は、各大学(大学共同利用機関を含む。)が自律的運営をより一層強く求められている状況の中で、知の源泉を豊かにする観点から、多様で個性的な基礎研究の展開と高度な創造性を持つ優れた人材養成を活性化するためには、まず、その土壌を培う上で重要な役割を担う科学研究費補助金の学術貢献状況を検証する必要があると考え、国立情報学研究所との共同により、大学関係者を対象にアンケート調査を実施し、その結果(単純集計)を取りまとめたものである。当財団では、この集計結果を踏まえて、「これからの高等教育と基礎研究の充実のために」を課題とする調査研究を進め、政策的提言をすることを目指している。本調査結果は、全体的に見て、大学の基礎研究に対する研究者の意識や研究の実態を把握し、併せて学術施策に資する上で有益な基礎資料を提供しているものと考えられるので、ご利用いただきたい。

(調査結果の概要は、こちらでご覧になれます。(全文PDFファイル(0.1M)) 訂正記事

Vol.14 「科学研究費補助金の学術貢献に関するアンケート調査」の調査結果に訂正がございます。

  20頁上から2行目  (誤) 2.6ポイント、13.6ポイント → (正) 8.0ポイント、5.9ポイント
  20頁下から3行目  (誤) 7.4%、6.1% → (正) 6.1%、7.4%
No.15 「新時代の学術振興にかかる5提言?高等教育の充実と科学研究費補助金の役割の両面から」 2006年

 学術振興こそは、前世紀の科学技術文明の展開による様々な変化と向かい合いつつ、豊かで健全な人類社会の構築を先導する 「豊かな創造力」を生み出す源泉である。本提言は、この観点に立ち、自発的で独創的な研究を推進し、論理的思考能力を持つ優れた若手人材を育成するという、大学・大学共同利用機関における創造活動のポテンシャルを高めることのできるような体制と環境の整備に関して取り組むべき施策を示したものである。そのためには、「文化力」を価値体系の基礎として位置付けつつ、学術・技術・芸術の3元的要素の融合を目指し、根元的な創造性を育て発展させることを基本的方向として、ファンディング・システムと研究評価体制の整備、科研費配分・審査システムの活性化、創造的思考能力を育み高める基礎教育の充実を図ることが必要であり、さらに研究者は国民の信頼と支持を確保するために一層の説明責任を果たすべきであることを強調している。 なお、巻末に本会報No.14におけるデータを元にした「主要項目間のクロス集計分析結果」を添付している。学術研究に対する研究者の意識や研究の実態の一端が伺える資料であり、提言と併せて是非参考にしていただきたい。

(全文PDFファイル(3.3M))
No.16 「21世紀の新しい科学パラダイムの創造に向けて-新時代文化立国を目指す学問研究の新展開と課題-」 2009年

  人類が初めて地球に出現して農耕牧畜を開始して以来、学習とそれによって得た知識の蓄積・増殖により文化を形成し、なかでも近代科学技術文明の生成、発展は、人類社会に著しい繁栄をもたらした一方で、人類と自然との共生関係に緊張関係を増大させるに至るが、その変化の拡大は、単に地球環境の悪化のみでなく、これにより生起する様々な政治・経済・社会等の構造の激動に伴って人類の危機が現実なものになる恐れさえ招来しつつある今日、こうした「今日的先端緊急課題」に対するには、「地球生態系」の時代とも言うべき新しい時代にふさわしい新たな文明思想を創造することが必要であり、学問がここで大きな役割を果たさなければならない。それは、まさに総合知に基づく新生ルネッサンスへの新しい挑戦である。本報告書においては、わが国の置かれた学問の現状と問題点を指摘し、文明論的視野を踏まえた新たな科学パラダイム形成の理念や持続可能な人類社会を構築するために求められる学問の創造的展開に関し、中長期的観点からの基本的な考え方や望ましいあるべき姿を素描し、主要な課題について提示したものである。特に、フロント・ランナーの一員となったわが国にとっては、今後、いかにして多様な知的資産を創出し、継承し世界に貢献する責任を果たすことができるかが大きな課題であり、教育研究関係者の強い覚悟と地道な努力を前提として、現状に即して最も重要と思われる政策的提言を3点に絞って行っている。

(全文PDFファイル(1.2M))